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突然の動きはどうして?携帯大手3社が「顧客還元」に力を入れ始めたワケとは

突然の動きはどうして?携帯大手3社が「顧客還元」に力を入れ始めたワケとは

MVNOなど“格安”なサービスに注目が集まる昨今ですが、実は大手携帯キャリア各社も昨年ごろから、既存のユーザーに向けた“顧客還元”に、急速に力を入れ始めていることはご存じでしょうか。
 
例えばNTTドコモは、顧客還元の一環として、「シンプルプラン」や「docomo with」などの新しい料金プランを提供しています。シンプルプランは家族契約しているユーザーのみに利用が限られ、通話し放題となる相手も家族間に限定されます。しかし、そのかわりに月額980円という、とても低い料金で利用できます。
 
また、docomo withでは、NTTドコモが指定したスマートフォンを購入すると、指定以外の端末に買い替えるまで、何年経ってもずっと毎月の料金から1,500円が割り引かれます。利用できる端末は制限されますが、5分間通話し放題の「カケホーダイライトプラン」(月額1,700円)を契約している人にdocomo withが適用された場合、基本料が月額200円で済む計算になります。かなりお得であることは間違いありません。
 
auは昨年より、長期利用者を対象とした顧客還元サービス「au STAR」の提供を開始しています。au STARには、auの契約年数に応じてau WALLETポイントをもらうことができる「au STARロイヤル」や、毎月特典がもらえる「au STARギフト」、au WALLETポイントを厳選されたギフトと交換できる「au STARギフトセレクション」などのサービスが用意されています。長く契約しているほどお得なサービスが受けられるのです。
 
ソフトバンクの代表的な顧客還元サービスとして挙げられるのは、昨年より実施されている「SUPER FRIDAY」でしょう。これはソフトバンクから発行されたクーポンを、毎週金曜日に特定のショップで見せることにより、指定の商品が無料でもらえるというもの。月によって実施の可否、対象となるショップや商品は変わりますが、金曜になると対象のショップに行列ができるなど、注目を集めているサービスです。
 
携帯大手各社の顧客還元サービスは、今後も一層拡充される可能性が高いようです。実際に、NTTドコモは2017年度、顧客還元に数百億円を投じるとしていますし、KDDIもやはり2017年度、au STARなどの顧客還元に、250億円投資する予定であることを明らかにしています。

しかし、当然ながら、顧客還元を拡大すれば、企業としての利益が減ってしまいます。それなのに、大手各社はそこまでして、急速に顧客還元に力を入れるようになったのでしょうか。

背景として、“格安”なサービスの台頭を挙げる人も多いかもしれません。大手各社のサービスから、MVNOやワイモバイルなどの安価な通信サービスへユーザーが流出する傾向が急速に高まっています。大手各社の顧客が減れば、通信料収入が減ってしまうことになります。そのため、顧客を自社のサービスにとどまらせて減収しないように、顧客還元を打ち出そうとしているように見えます。

もっとも、格安なサービスの台頭は、大手各社の顧客還元に影響している部分があるとはいうものの、直接つながっているわけではありません。実は、携帯大手各社は顧客還元を自主的にしているのではなく、“しなくてはならなくなった”のです。

その理由は国、すなわち総務省にあります。総務省のICTサービス安心・安全研究会は2015年、安倍晋三首相の指示を受けて「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」を実施し、携帯電話の料金引き下げに関する議論を進めてきました。その議論の中で、特に大きな問題点として指摘されたのが、いわゆるスマートフォンの“実質0円”販売でした。

従来、大手各社は、番号ポータビリティで他社から乗り換えてくる人を対象として、端末価格を極端に値引いて販売し、その値引き額をユーザーの毎月の通信料金からまかなうというビジネスを展開してきました。端末の安売りで他社のユーザーを奪い、売上額を高めていたのです。

しかし、この仕組みは、新規契約者にとってはメリットが大きい一方で、同じ端末を長く使い続けている長期契約者から見れば、他人の端末代の値引き分を負担させられているようで、強い不公平感がありました。

そうした“新規偏重”の商習慣を改めて不公平感を解消すべく、総務省は昨年、端末の実質0円など、極端に割り引いて販売することを事実上禁止するためのガイドラインを打ち出しました。また、従来値引きに消費してきた分の利益を使って、長期利用者等に向けた顧客還元をすることも指示していました。そうしたことから、大手3社は既存顧客に向けた顧客還元に、力を入れざるを得なくなったのです。

総務省は依然として携帯大手各社のビジネスに厳しい目を向けており、大手3社は当面、既存顧客に向けた顧客還元に力を入れざるを得ない状況が続くでしょう。スマートフォンを頻繁に買い替える人には“実質0円”の方がメリットあったかもしれません。しかし、そうではない人にとっては顧客還元のほうのメリットが大きいといえます。

今後も、各社の還元策が期待されるところだと言えるでしょう。

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この記事の執筆者

佐野正弘

佐野正弘

エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在は業界動向から、スマートフォン、アプリ、カルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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