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総務省の影響がみられた2016年 スマホ代や通信料はどう変わった?

総務省の影響がみられた2016年 スマホ代や通信料はどう変わった?

今年の携帯電話業界を振り返ると、「タスクフォース」「ガイドライン」などという言葉を見たり聞いたりする機会が多く、携帯電話市場を大きく変えたいと考えている総務省の影響を、非常に大きく受けた1年だったといえます。

そのきっかけは、昨年、安倍晋三首相が携帯電話料金の引き下げを検討するよう、高市早苗総務大臣に指示したこと。これを受けて総務省のICTサービス安心・安全研究会で「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」が実施され、その議論の結果から、携帯大手3社にいくつかの指導と要請が実施されました。

1つは、ライトユーザー向けの安価な料金プランを拡充することです。大手3社は従来、高速通信容量が少なくて安価な料金プランにあまり力を入れてきませんでした。ですが総務省からの要請を受けたことから、各社とも3月から4月にかけ、高速通信容量が1GB程度で、月額5000円前後の価格を実現する、比較的安価な料金プランの提供を開始しています。

そしてもう1つは、端末販売の適正化です。スマートフォンに高額な割引を提供して“実質0円”など極端に安価な料金で販売し、毎月の通信料金で割引負担分を回収する大手3社のビジネスモデルが、MVNOなど新規参入事業者に対する競争の妨げとなって通信料が下がらない要因になっていることから是正すべきというものです。

実際、総務省は4月、タスクフォースの議論を受ける形で「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を施行。このガイドラインを根拠として、総務省が3社の販売手法に対して相次いで行政指導を実施したのです。その結果、従来一般的だったスマートフォンの実質0円販売が、急速に姿を消すこととなった訳です。

さらに言えば、タスクフォースとは別に、ICTサービス安心・安全研究会が進めていた議論から、2年間の長期契約を結ぶ代わりに料金を割り引く、いわゆる“2年縛り”に関しても改善を求める要請がなされていました。その要請を受けて3社は今年、2年縛りの影響を受けない代わりに、割引がない、もしくは少ないコースを選択できる仕組みも用意しています。

このように、総務省は通信料引き下げのため、大手3社に対し非常に厳しい対応をとり、改善を要請してきました。ですが総務省はその手を緩めることなく、一層の改善を求める方向へと突き進んでいるようです。実際、今年の10月からは同じくICTサービス安心・安全研究会で、一連の施策を振り返り、新たな対応を議論する「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」を実施しています。この会合の中で議論された要素は大きく分けて3つあり、その内容は先のガイドラインなどを改正することなどにより、来年には反映されるものと見られています。

1つは、端末販売価格の適正化を一層推し進めることです。先のガイドライン以降、端末の実質0円販売は事実上認められなくなりましたが、実際にはガイドラインの“抜け穴”を突いて、実質0円販売がなされるケースがいくつか見られました。また現状、端末販売価格の下限が、高額な端末であっても実質的に1万円程度となっていたため、低価格端末との差がつかず、割引の大きい高額端末ばかりが売れてしまうという問題も抱えています。

そうしたことからフォローアップ会合では、実質0円販売ができなくなるよう、ガイドラインの穴を埋めるための議論が進められました。また端末の割引価格に関しては、2年前に販売された同じメーカーの旧機種の下取り価格を参考にすることで、高額端末と低額端末との価格差を広げる方針も示されています。

2つ目はSIMロック解除に関してです。SIMロック解除は2015年に義務化されており、現在大手3社が販売するスマートフォンは、購入後半年が経過すればSIMロック解除が可能となっています。ですがフォローアップ会合での議論では、SIMロック解除できるまでの期間をより短くするべきという意見が多く出たことから、さまざまな議論の結果、料金の初回支払いが確認できる、2ヶ月目でのSIMロック解除を可能にするべきという方針が打ち出されました。

また現状、NTTドコモ以外の端末は、自社と同じ回線を用いたMVNOのSIMを挿入しても、SIMロック解除をしていなければ利用できない仕組みとなっています。ですがフォローアップ会合で総務省側は2社の対応を認めず、NTTドコモ同様SIMロックがかかった状態であっても、MVNOのSIMが利用できるようにすべきとしています。

そして3つ目は、MVNOが携帯会社から回線を借りる際に支払う「接続料」に関してです。現在3社の接続料を比較すると、最も安いNTTドコモと、最も高いソフトバンクとの間で1.5倍もの開きがあることから、これを是正すべきという訳です。

これだけの差が開いてしまうのには、各社共に接続料を算出する際に用いる一部の計算式が異なっていることが影響していました。そこで今回の議論では、これら接続料の算出方法を統一して接続料の差を少なくする方針が打ち出されました。その結果として今後、auやソフトバンクの回線を利用するMVNOが、「mineo」や「UQ mobile」「Hitスマホ」など極めてごく一部に限られている現状が、大きく改善されることが期待されます。

総務省の一連の施策では、MVNOの競争力を高めて市場競争を促すことにより、携帯電話の料金を引き下げることを目指しています。ですが一方で、クレジットカードや株主優待などを原資とした端末割引にも制約が入るなど、“やりすぎ”感のある施策に疑問を呈する声も出てきているようです。

また将来的なことを考えると、高額なスマートフォンの価格が高くなり、高性能な最新モデルを手にするユーザーが大幅に減少することで、将来的にインフラやサービスの普及が大きく遅れることも懸念されます。総務省にはそうしたメリットとデメリット、双方のバランスを取りつつ、日本の携帯電話業界が前向きに発展するための取り組みを期待したいところです。

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この記事の執筆者

佐野正弘

佐野正弘

エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在は業界動向から、スマートフォン、アプリ、カルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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