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歴史から読み解く、iPhoneはなぜ日本で人気になったのか

歴史から読み解く、iPhoneはなぜ日本で人気になったのか

去る9月7日(現地時間)、米国・サンフランシスコでiPhoneの新機種「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」の発表が行われ、9月16日に発売されました。日本では非常に人気が高いiPhoneですが、そもそもなぜiPhoneは、ここまで大きな人気を獲得するに至ったのでしょうか。日本におけるiPhone販売の歴史を振り返り、その理由について探ってみましょう。

元々パソコンメーカーだったアップルが、iPhoneを初めて発売したのは2007年のこと。当時はまだApp Storeもなくアプリのインストールもできませんでしたが、ボタン操作が一般的だった携帯電話やスマートフォンの世界に、前面タッチパネルで、しかも指でタッチするだけで快適に操作できるという斬新なインターフェースが脚光を浴び、たちまち注目を集めることとなります。

最近ではiPhoneと、Androidなどを採用したスマートフォンが別物であると解釈している人もいるようですが、現在のスマートフォンブームの礎を作ったのは、実はiPhoneなのです。それゆえiPhoneの機能やインターフェースは、その後登場したAndroidなどにもさまざまな影響を与えています。

しかしながら初代iPhoneは、「GSM」という日本では使われていない通信方式にしか対応していなかったことから、日本では発売されませんでした。日本でiPhoneが発売されたのは、3Gに対応した翌年発売の「iPhone 3G」からです。

iPhone 3Gは発売当初、購入したいユーザーが大挙し、アップルストアや量販店などに1000人以上の列を作るなど、爆発的なブームをもたらしました。ですがそうしたユーザーの多くはアップルのファンや、ITに詳しい人達であり、客層も30~40代の男性が多くを占めていたと言われています。現在でこそ、若い女性からは「iPhoneでないとイヤ」という声が多く上がっているようですが、当時はiPhoneの利用者層がおじさん世代ということもあり、若い女性からは逆に「iPhoneはイヤ」という声が上がっていたようです。

そのように、当時はiPhoneを欲しがる客層があまり広くなかったことから、「どうしてもiPhoneが欲しい」という人たちに端末が行きわたると、iPhoneの人気は急速にしぼんでしばらく販売が低迷することとなります。その状況を打破したのが、当時iPhoneを独占販売していたソフトバンクモバイル(現・ソフトバンク)。同社は2009年に「iPhone for everybodyキャンペーン」を実施したのですが、このキャンペーンを適用すると、最も安価なiPhone 3Gの8GBが実質0円で購入できることから、大きな話題となりました。

実は当時、iPhoneは世界的に販売が好調であったことから、割引販売がされることはほとんどなかったのです。それだけに、このキャンペーンの反響は海外にまで及び、「日本ではiPhoneが0円でないと売れないのか」とさえ言われた程です。ソフトバンクモバイルのこのキャンペーンは、ある意味“捨て身”の覚悟で実施されたものといえますが、結果的にそれがが功を奏し、これまでiPhoneに興味はあるけれど、価格が高くて購入をためらっていた人達が購入しやすくなったことでユーザー層が急拡大。後のiPhone人気へとつながっていく訳です。

その後もソフトバンクモバイルは、iPhone 3GS、iPhone 4と独占販売を続け、iPhone人気を武器としてNTTドコモやKDDI(au)からユーザーを奪うなど“独り勝ち”状態を続けたのですが、そこに待ったをかけたのがauです。

auは2011年に発売された「iPhone 4S」が、同社の3Gネットワークに対応したのを機として、iPhoneの取り扱いを開始。ソフトバンクの独占状態が崩れ、iPhone販売を巡る両社の激しい争いが繰り広げられるようになりました。そして両社の争いは、翌年発売された「iPhone 5」で一層ヒートアップすることとなります。

iPhone 5はiPhoneの中で初めてLTEに対応したことから、LTEのエリアや通信速度で両社が激しい争いを繰り広げるようになりました。その争いの影響は企業買収にまで及び、iPhoneに対応する周波数帯を持っていたイー・アクセスの買収を巡って、KDDIとソフトバンクモバイルの親会社であるソフトバンク(現・ソフトバンクグループ)が水面下で争いを繰り広げた程です。結果、イー・アクセスの買収はソフトバンクに軍配が上がり、買収されたイー・アクセスは、現在ソフトバンクのワイモバイルブランドとなっています。

両社のiPhone合戦の影響をもろに食らったのがNTTドコモです。販売面での条件が合わず、唯一iPhoneを取り扱っていなかったNTTドコモは、iPhone人気と両社のiPhone合戦による値引き販売などの影響が直撃し、iPhoneを求めるユーザーが他社へと大量に流出。番号ポータビリティー(MNP)で毎月10万単位の純減を記録するなど、不振を極めることとなりました。

NTTドコモ側もこれに対抗するべく、特定の2機種だけを優遇して安価に販売する「ツートップ戦略」など、さまざまな策を打ち出したのですが、効果はあまり出ず契約者の流出は止まりません。

このような状況を受けてNTTドコモも、2013年の「iPhone 5s」「iPhone 5c」を機として、NTTドコモもiPhoneを取り扱うことを決定。しかしながらその結果、3社ともに全く同じiPhoneという商材を扱うこととなったのに加え、激しい競争によってLTEのネットワーク整備もある程度進んだことから、他社との差別化要素も減少。キャリアが価格以外の競争軸を失うこととなったのです。

そこで勃発したのが、2014年の春頃まで続いた高額キャッシュバック合戦です。MNPで乗り換えてiPhoneを購入すると、端末代が0円になるどころか、逆に何万円、何十万円ものお金がもらえてしまう異常事態となるなど、あまりに価格競争が過熱したことから、総務省など行政側が問題視するようになりました。そのことが大きく影響してか、今年に入ってからは「実質0円」販売などが事実上できなくなるなど、業界の商習慣に対してもメスが入るに至った程です。

このように、日本におけるiPhone人気は、キャリアの値引き販売によるユーザー層の拡大と、その後の取り扱いキャリアの増加による競争激化で、ネットワークやサービスが大幅に改善されただけでなく、一層の値下げ合戦が起きたことが大きく影響したといえるでしょう。

ですが先にも触れた通り、今年から行政が端末価格の値下げ競争に厳しい対応を取るようになったことから、今後キャリアがiPhoneを大幅に値下げして販売することは難しくなると考えられiPhoneは本来非常に高額な端末なだけに、値下げ競争が落ち着いた後も、現在の人気を保ち続けられるかどうかが、今後は注目されるところです。

この記事の執筆者

佐野正弘

佐野正弘

エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在は業界動向から、スマートフォン、アプリ、カルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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